エンジニアの採用が難しい理由

優秀なエンジニアの採用が難しいと言われるのには、複合的な理由があります。まずはエンジニア採用を難しくしている主な要因を紹介します。
エンジニアの求人数に対して人材が不足している
エンジニアの求人数は右肩上がりで伸びており、売り手市場が続いています。特に、コロナ禍以降は企業のDXやビジネスのオンライン化が加速したため、エンジニアの求人倍率の上昇が顕著です。
転職サイトdodaが発表した「転職求人倍率レポート」では、コロナ前の2019年5月のITエンジニアの求人倍率が4.41倍なのに対し、2025年5月の求人倍率は10.51倍にまでなっています。
エンジニアの数に対して求人数が多く、市場におけるエンジニア不足に陥っているといえます。
エンジニア求人のレベルが上がっている
AI技術の発達により、簡単なシステム構築やコード生成、テストなどは、自動化できるようになっており、企業がエンジニアに求めるレベルが上がっています。
例えば、単にコードが書けるだけではなく、AIツールを扱うためのデータサイエンスやAI・機械学習の知識がある人材を求める企業は多いです。また、上流工程に関わった経験があり、ユーザーのニーズを把握して機能に落とし込むスキルも高く評価されます。
しかし、このような高いレベルの知識や経験があるエンジニアは限られているため、複数の企業で取り合う事態となり、採用のハードルが高くなっています。
エンジニアの働き方が多様化している
フリーランスや副業など、エンジニアの働き方は多様化しています。特にコロナ禍以降は、エンジニアがフルリモートで働ける企業が増え、複数の案件を掛け持ちしやすくなっています。副業からフリーランスへ転向するエンジニアも多いです。
転職しなくてもエンジニアが収入アップや希望のキャリアを実現できるようになっているため、正社員で優秀なエンジニアを採用することが難しくなっています。
採用手法が多様化している
エンジニアに限らず、労働力不足による人材獲得競争の激化によって、採用手法が多様化しています。よく使われる採用手法には、以下のようなものがあります。
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採用手法 |
特徴 |
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求人媒体 |
求人サイトや求人誌などに掲載した求人からの応募者を採用する。幅広い人材を対象にした採用活動ができる。 |
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ハローワーク |
地域を管轄するハローワークによって地域密着の採用活動ができる。 |
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オウンドメディア |
自社が運営するWebメディアやホームページから採用につなげる。自社のアピールがしやすい。 |
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ダイレクトリクルーティング |
求人サイトに登録している求職者データから直接スカウトを行う。 |
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リファラル採用 |
自社の従業員から知人を紹介してもらう。採用ミスマッチが起こりにくい。 |
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人材紹介(エージェント) |
人材紹介会社から人材を紹介してもらう。採用にかかる時間を短縮できる。 |
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SNS |
LinkedIn、Facebook、XなどのSNSを活用して採用する。求職者と直接的にも間接的にもコニュニケーションが取りやすく、自社のブランディングもしやすい。 |
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採用イベント |
会社説明会やカンファレンス出展などのイベントから採用につなげる。転職意欲の高い求職者に対面で直接アプローチができる。 |
これまでは求人サイトを利用した採用活動が主流でしたが、今は求人サイトの利用だけでは優秀な人材の獲得は難しいでしょう。求職者からの応募を待つだけではなく、企業から積極的にアプローチし、採用につなげていく必要があります。
エンジニアの求める条件と採用条件が一致しない
エンジニアの獲得競争が激しくなる中で、エンジニアが求める待遇のレベルが上がっていることも、採用が難しくなっている要因です。
特に中小企業は大手企業と給与やリモートワークの可否、開発環境、福利厚生などにおいてエンジニアのニーズに合った条件を用意できず、応募者を集めることが困難になっています。
自社の求めるレベルのエンジニアが、転職市場でどれくらいの水準の条件で募集されているのかを把握したうえで、採用条件を設定する必要があります。
企業がエンジニアの囲い込みを行っている
エンジニア不足に対応するため、雇用しているエンジニアの囲い込みを行う企業も多いです。一部の企業は年収の引き上げやリモート手当の支給、学び直し制度の導入などにより、離職防止を図っています。
その結果、豊富な経験やスキルを持つエンジニアが転職市場に出てくることが減っています。これからエンジニアを採用したい中小企業や非IT企業は、応募者を集めること自体が難しい状況です。
採用ノウハウがない
エンジニアという専門職に対応した採用ノウハウがないと、優秀な人材の見極めができません。エンジニアの採用には、提出されたポートフォリオからスキルレベルを判断するノウハウや、面接で深掘りし、自社の環境に合うかを見極めるノウハウなどが求められます。
特に採用の初期段階を人事担当者のみで行っている場合は、自社のニーズとマッチしない応募者を通してしまったり、面接の質問が浅くて応募者の志望度を下げてしまったりして、採用が難航していることがあります。
エンジニア採用に苦戦するポイント

実際にエンジニアの採用に苦戦している企業は、採用活動のどこに課題を抱えているのでしょうか。採用に苦戦するポイントを具体的に紹介します。
採用予算・人件費の確保
転職市場でニーズの高い、優秀なエンジニアを採用するには、採用広告やスカウトなどあらゆる方面からのアプローチを行うことが必要です。
求人広告の掲載費やツールの利用料、また選考にあたる人事担当者や現場メンバーの稼働コストなどを含めると、採用活動には多くの費用がかかります。
経営陣が必要な投資と判断し、十分なエンジニアの採用予算を確保しなければ、質の高い採用活動を行うことは難しいでしょう。
採用チャネルの選定
採用チャネルとは、求職者にアプローチするための手段や経路を指します。例えば、知名度の低い企業が大手求人サイトに注力しても、大手企業の求人に埋もれてしまい、応募者が集まらないのにコストだけが膨らむリスクがあります。
自社の特徴やターゲット層と相性がよい採用チャネルを調査したうえで、力を入れるチャネルを選定しましょう。
採用ターゲットの明確化
採用ターゲットが曖昧なまま採用活動をしているせいで、求職者のニーズにあったアプローチができていない企業も多いです。ターゲットを明確にすることによって、ターゲットの調査をして採用戦略を策定できます。
また、採用ターゲットの明確化によって、採用したい人材のイメージを社内で共有できるため、面接官ごとの選考基準のばらつきも解消できます。
競合他社との差別化
エンジニアを採用するには、エンジニアに選んでもらえる魅力を打ち出す必要があります。そのため、同じ水準の給与や雇用条件を提示している競合他社と自社をいかに差別化できるかが重要です。
エンジニアが裁量を持てる体制や、独自の福利厚生、技術力など数字以外の自社の魅力を言語化して打ち出しましょう。
自社に適したエンジニアかの見極め
一般的に技術力が高いエンジニアが、必ずしも自社で活躍できる人材とは限らないため、自社に適したエンジニアかの見極めに苦戦する企業は多いです。
これまでの経験や人柄によって、少人数のチームで密なやり取りをしながらスピーディーに仕事を進めていくのが向いているのか、大規模なプロジェクトの上流工程に携わるのが向いているのかなどが変わってきます。
エンジニアのスキルレベルを見極めるには、コーディングテストやコードレビューの実施が効果的です。
エンジニアが求める環境の整備
リモートワークや開発環境、キャリア支援制度といったエンジニアが求める環境整備ができないために内定辞退や早期退職につながってしまうこともあります。
一方、柔軟な働き方や成長機会を提供できる企業は、応募者に「長く働いていけそう」と感じてもらえ、採用に至る可能性が高いです。
また、開発環境が充実していることは、求職者へのアピールになります。自社の開発環境について情報を整理し、面接で技術面の質問がでた際に担当者が明確に回答できるようにしておきましょう。
採用スピードとクロージング
応募から実際に稼働するまでの期間が長ければ、他社に優秀なエンジニアを奪われるリスクが高くなります。同時並行で応募している他企業より早く内定を出せるように、選考フローを最短ルートで組み立てることが重要です。
また、優秀なエンジニアは転職市場で引く手あまたなので、他に魅力的な企業があれば、内定辞退になることも珍しくはありません。そのため、クロージングによって内定辞退を防げるかもポイントとなります。
採用におけるクロージングとは、内定を出してから実際に入社するまでの間に内定者をフォローし、入社意思を固める活動のことです。
エンジニアの採用を成功させるコツ

多くの企業がエンジニアの採用は難しいと感じている中でも、優秀なエンジニアの採用に成功している企業はあります。しっかりと戦略を立てたうえで、社内のエンジニアと協力して採用活動を行えば、エンジニアの採用は無謀なことではありません。
ここでは、エンジニアの採用を成功させるコツを紹介します。
ペルソナをしっかり設定する
採用したいエンジニアのペルソナをしっかり設定しましょう。ペルソナとは、想定するターゲットを年齢や性別、生活スタイルまで細かく設定し、特定の人物像に落とし込んだものです。
具体的なペルソナを設定することで、ターゲットのスキルレベルだけではなく、どんな働き方を求めていて、どんな価値観を持っている人かまで想定できます。
ここで設定したペルソナをもとに、求人広告の文言やスカウトメッセージを作れば、マッチ度の高いエンジニアを集めやすくなります。
適切な採用媒体を選定する
採用媒体にはさまざまなサービスがある中で、自社のニーズに合った媒体を選ぶことが、採用活動の成功につながります。採用媒体を選定する際には、以下を基準にしましょう。
登録している求職者の数が多い
自社の採用ターゲット層が利用している
料金が適切である
媒体ごとの特徴を含めた媒体戦略については後の章で解説するので、参考にしてください。
面接には現場エンジニアを同席させる
選考で候補者が自社の求める人材か見極めるには、現場のエンジニアの協力が不可欠です。面接に現場のエンジニアを同席させれば、候補者のスキルレベルや現場にマッチする人柄かを正確に評価できます。
また、候補者がプロジェクトの詳細や課題を確認したり、現場のエンジニアからチームの雰囲気やプロジェクトの魅力を伝えたりすることで、内定につながる可能性を高められます。
ダイレクトリクルーティングやSNS採用も検討する
求人広告を出して応募を待つだけではなく、ダイレクトリクルーティングやSNS採用など、企業から求職者へ積極的に働きかけることも大切です。
XやLinkedIn、FacebookなどのSNSでは、自社の技術にまつわる記事など、自社でエンジニアとして働く魅力を発信できます。また、ユーザーにダイレクトメッセージを送ることで、転職潜在層へもアプローチできます。
業務委託での採用も検討する
正社員を希望するエンジニアが転職市場に流れてくることが少なくなっているため、副業やフリーランスのエンジニアを業務委託で採用すればスキルのある即戦力を採用しやすくなります。
正社員の採用が難しければ、プロジェクトごとにエンジニアと業務委託契約を結ぶことも視野に入れるとよいでしょう。業務委託の場合には社会保険料や福利厚生費がかからないので、資金面でもメリットがあります。
自社の魅力を積極的に発信する
エンジニアの採用が困難な今、応募を待つだけではなく積極的な情報発信で自社のアピールをする必要があります。ブログやYouTubeで、職場紹介や開発秘話などのエンジニアが好むコンテンツを公開すると、応募につながりやすくなるでしょう。
また、社内のエンジニアの協力を得て情報発信を行っていくことで、社員のエンゲージメントを高め、リファラル採用にもつながりやすくなります。
福利厚生・キャリア支援制度を充実させる
エンジニアの求める福利厚生やキャリア支援制度を整理し、エンジニアにとって働くメリットがある環境を作ることが大事です。例えば、以下のような制度の導入が効果的です。
書籍購入補助
技術カンファレンスの参加費補助
リモートワーク手当
スキル研修制度
フレックスタイム制度
成長支援や働きやすさに関わる制度や福利厚生の情報を伝えることで、候補者に自社で働くイメージを描いてもらいやすくなります。
知識のある人が採用に関わる
優秀な候補者を取りこぼさないために、採用には必ずエンジニアリングの知識のある人が関わるようにしましょう。人事担当者だけで採用活動を行っても、現場のニーズに合うエンジニアを採用することは難しいです。
面接に同席してもらうだけではなく、採用ターゲットの設定から候補者のフォローまで、あらゆるプロセスで知識のあるスタッフに関わってもらうことが大事です。
人事部は採用プロセスの設計や採用戦略の策定などを行い、選考は現場と二人三脚で進めていくと採用の成功率を高められます。
難易度の高いエンジニアを採用するための媒体戦略

エンジニアを採用する際には、どの媒体をどう組み合わせて応募者を集めるのかが重要となります。ここでは、難易度の高いエンジニアを採用するために押さえておきたい主要な媒体と、利用のポイントを解説します。
大手総合型エージェントは一通り登録
応募者の取りこぼしを防ぐために、まずは大手の総合型エージェントに一通り登録しましょう。大手総合型のエージェントは圧倒的な登録者数を持つため、人材の候補が多いのが特徴です。
総合型のエージェントにはさまざまなバックグラウンドのエンジニアが登録しているため、自社が求める要件を明確にし、エージェントと細かくすり合わせを行うことで、マッチ度の高い人材を紹介してもらえます。
特に必要なスキルセットと想定年収、開発環境や企業文化を具体的に伝えることが大事です。
エンジニア特化型エージェントは登録必須
エンジニア特化型のエージェントは、業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しているため、登録すると自社と相性のよいエージェントを紹介してもらえる可能性が高いです。エンジニアを採用したい場合には、必ず登録しておきましょう。
しかし、優秀なエンジニアは限られているため、エンジニア特化型のエージェントに登録したからといってすぐに採用できるとは限りません。
登録者の多いサービスやアドバイザーのスキルが高いサービスなどをピックアップして、複数のサービスを併用することがおすすめです。
スカウトサービスにもできれば登録
スカウトサービスとは、求人サイトに登録している人へスカウトメールを送信できるサービスです。スカウトサービスに登録すると、採用したい人材に直接アプローチできます。
求人サイトに求人を掲載しても、自社の知名度が低ければターゲットにしているエンジニアの目に留まらない可能性が高いです。ターゲット層にスカウトメールを一斉送信すれば、自社の認知を高め、応募率の増加につなげられます。
スカウトサービスで成果を出すには、魅力的なスカウトメールの文面を考えることが重要です。
業務委託の場合はマッチングサービスがおすすめ
副業やフリーランスのエンジニアを業務委託で採用する場合は、業務委託の案件を中心に扱う人材マッチングサービスの利用がおすすめです。
すぐに人手が必要な状況であれば、マッチングサービスで業務委託のエンジニアを探すと、正社員を採用するよりも格段に早く人材を見つけてプロジェクトにアサインできます。
また最近では、業務委託でエンジニアと契約して一定期間プロジェクトに参加してもらう間に自社と合う人材かを見極め、正社員化を提案する「トライアル雇用」という採用方法も普及しています。
予算が潤沢なら求人サイトにも掲載
予算が潤沢にあるなら、有料求人サイトに求人を出すのもよいでしょう。自ら転職先を探しているエンジニアに見つけてもらい、採用につなげられます。
掲載する求人サイトは、エンジニア特化型やIT専門のものを中心に選定しましょう。求人原稿では、自社が求めるスキルや経験、任せたい業務内容、開発環境などを具体的に書きます。
また、少人数のチームにアサインする場合は、一緒に働くエンジニアの情報も記載することがポイントです。
リソースがあるなら無料の求人媒体も登録
ハローワークや、大学・高専のキャリアセンターなど、無料で求人を掲載できる媒体もあります。採用担当者のリソースがある場合には、無料で利用できる求人媒体に登録しておいて損はありません。
ただし、無料の求人媒体はすぐに情報が埋もれてしまいます。成果を出すためには、定期的に情報を更新したり、自社のSNSやブログと連動させたりといった工夫が必要です。
無料の求人媒体は費用対効果が高いとはいえないため、リソースが十分でない場合には、エージェントやスカウトサービスで成果を出すことに集中するべきでしょう。
まとめ
求人数の増加や人手不足から、エンジニアの採用が難しい状況が続いています。自社が求めるエンジニアを採用するには、よくある課題を理解し、戦略的に採用活動を進めていく必要があります。
特に限られた予算の中でどの求人媒体をどのように使うかは重要です。本記事で紹介した採用戦略をぜひ取り入れてみてください。また、正社員でのエンジニアの採用は難易度が高く、時間もかかるため、業務委託での採用を視野に入れることもおすすめです。
SOKUDANでは、フリーランスや副業人材など、転職市場にはいない即戦力人材に出会えます。実務経験5年以上の経験豊富なエンジニアも多数登録しているので、採用戦略の一環としてご活用ください。





