AI導入が進まない原因

AI導入が進まない原因は、ツールの良し悪しではなく、現場に定着させる人と体制にあります。同じツールを導入しても、企業によって成果に差が出るのはそのためです。
総務省の資料によると、何らかの業務で生成AIを利用している企業は86.4%に増えています。一方、生成AIによる業務変革について「組織的な取り組みはない」と答えた企業も27.0%あります。
この割合はアメリカ・ドイツ・中国より高く、特に中小企業で目立ちます。つまり、「AIを導入したこと」と「組織としてAIを活用できていること」は別です。
同じ調査では、他の3か国で「取り組みを推進する部署や責任者が明確になっている」という回答が多く見られました。AI活用が進む企業でも、現場のニーズをもとに、推進部門がアイデア出しや技術面の助言、効果測定などを支援しています。
AIを定着させるには、ツールを配るだけでは不十分です。どの業務なら使われるのかを見極め、実際に現場で使われる状態まで進められる人材が必要です。
▼参考:令和8年版 情報通信白書|総務省
AI導入を進める企業向けに、最初に採用したいAI人材の特徴をまとめた資料を公開しています。3タイプのAI人材の役割や目的に合った選び方、採用で失敗しやすいポイントを整理しているので、ぜひご活用ください。
▼「AI導入を進める企業が最初に採用すべき人材とは?」を無料ダウンロードする
AIを活用して何を進めたいかを決める

AI人材を探す前に決めておきたいのは、AIで何を進めたいかです。実際にSOKUDANでも「AI人材を採用したい」という相談は増えていますが、「具体的にどのような人材を探していますか?」と伺うと、すぐに答えが出ない企業も少なくありません。
人材像から先に決めようとすると、要件が曖昧なまま採用活動が始まってしまいます。
目的によって必要な人材像が変わる
AIで進めたいことが違えば、同じ「AI人材」でも求める人物は大きく異なります。例えば、次の3つでは、必要な経験も面接で確認すべきポイントも変わります。
| 目的 | 求める経験 | 評価のポイント |
| 営業の提案書作成を効率化したい | 営業部門の業務改善や、既存のAIツールを現場に定着させた経験 | 現場の業務を理解し、実際に使われる状態まで伴走できるか |
| 自社データで予測モデルを作りたい | 機械学習モデルの構築や、データ基盤を扱った開発経験 | 自社データの状態に合わせて実装方法を判断できるか |
| 複数部門の取り組みを束ねたい | 全社のDX戦略立案や、部門横断プロジェクトの推進経験 | 経営層と各部門の意図を整理し、優先順位を付けられるか |
これらをまとめて「AI人材」として募集すると、応募者の経歴がばらつき、面接官ごとに評価するポイントも変わってしまいます。そのため、SOKUDANのヒアリングでは、まず「自社はAIで何を進めたいのか」から確認しています。
求人要件に落とし込む前に整理すべきこと
AIで進めたいことを求人要件に落とし込む前に、次の3点を社内で整理しておきましょう。
- 対象業務:どの業務でAIを使うのか
- 成功の定義:何が変われば成功とするのか
- 始める範囲:1部門・1業務から始めるのか、全社で進めるのか
対象業務と成功の定義が決まると、候補者に任せる仕事が明確になります。「提案書のたたき台作成にかかる時間を減らしたい」のように、対象業務と目指す成果を1文で説明できる状態が目安です。
そのうえで、3つ目の始める範囲を整理すると、次に紹介する3タイプのうち、どの人材が必要かも見えてきます。
【3タイプ】AI導入で最初の採用候補となる人材

AI導入で最初の採用候補となるのは、現場推進型・開発実装型・全社戦略型の3タイプです。いずれも「AI人材」と呼ばれますが、担う役割や力を発揮しやすい状況は異なります。前章で整理した「AIで何を進めたいのか」と照らし合わせて選ぶことが大切です。
現場推進型(AI活用推進人材)
現場推進型は、業務とAIをつなぎ、現場で実際に使われる状態まで導く人材です。モデルを自作するのではなく、営業や人事など各部門の業務を理解し、自動化・効率化できる部分を見極めます。そのうえで、既存のAIツールを組み合わせながら改善を進めます。
特定の部門から業務改善を始めたい企業や、AIツールを導入したものの定着していない企業に向いています。IPAの「DX動向2026」でも、「現場の知見と基礎的なAI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」は、不足しているとの回答が高い水準にあります。
社内では見つけにくい人材のため、最初の1人を外部から迎える方法も選択肢です。特に、AIツールの定着に課題を抱える企業にとって、検討しやすいタイプといえます。
開発実装型(AI実装・開発人材)
開発実装型は、自社プロダクトやデータにAIを組み込む人材です。機械学習エンジニアや、生成AIを活用したアプリを開発できるエンジニアなどが該当します。
モデルの選定や調整、APIを使った機能開発など、実装を担うのが主な役割です。自社プロダクトにAI機能を追加したい企業や、独自データを活用したい企業に向いています。
ただし、要件を整理する人がいないまま採用すると、何を作るのかが決まらず、開発が進まないことがあります。開発実装型の力を生かすには、事業側の要望を整理し、開発側に伝えられる体制が必要です。
全社戦略型(AI全社導入コンサル)
全社戦略型は、全社のAI活用方針を設計し、各部門の取り組みをまとめる人材です。経営層・事業部門・技術部門の間に立ち、それぞれの意図を整理しながら全体の方針を組み立てます。主な役割は、ロードマップの策定や施策の優先順位付け、進捗管理です。
全社でAI活用を進めたい企業や、部門ごとに進んでいる取り組みを整理したい企業に向いています。
注意したいのは、「戦略を描く力」と「現場を動かす力」は異なることです。戦略設計を重視するのか、現場への浸透まで任せたいのかを採用前に決めておくと、ミスマッチを防ぎやすくなります。
メインと補完で組み立てる
AIという言葉は共通していても、3タイプはそれぞれ役割が異なります。そのため、すべてを1人で担える人材は基本的にいません。SOKUDANでも、相談いただく企業にはこの点をお伝えしています。
現実的なのは、どのタイプを中心に据え、足りない役割をどう補うかで体制を考えることです。
| メインのタイプ | 補う役割 | 補い方 |
| 現場推進型 | 自社データやプロダクトへの組み込み | 開発が必要になった段階で、開発実装型を加える |
| 開発実装型 | 事業側の要件整理 | 事業部門の担当者を窓口にし、要件整理を担ってもらう |
| 全社戦略型 | 各部門での定着支援 | 優先度の高い部門から現場推進型を配置する |
最初からすべてを担える人材を探すより、目的に合ったタイプを軸に体制を組むほうが、採用を進めやすくなります。
3タイプごとの具体的な人材例は、以下の資料で紹介しています。これまでの経歴や経験年数、直近の所属企業まで掲載しているため、自社に合う人材やポジションを検討する際の参考にしてください。
▼「AI導入を進める企業が最初に採用すべき人材とは?」を無料ダウンロードする
AI人材は業務委託から始めるのも1つの選択肢

必要な人材タイプが決まっても、AI推進の経験を持つ人材を正社員で採用するのは簡単ではありません。また、AI活用の方向性が固まる前に正社員を採用すると、入社後に役割のズレが生じる可能性があります。
そのため、初期段階では業務委託で外部の知見を取り入れながら、自社に合う進め方や必要な役割を固めていく方法が現実的です。
正社員採用の難易度が高い
AI推進の経験を持つ人材は、正社員でも採用が難しい状況です。IPAの「DX動向2026」では、DXを推進する人材が「大幅に不足」「やや不足」と答えた企業は、合わせて85.5%でした。前年、前々年とほぼ同じ水準で、人材不足は解消していません。
生成AIは比較的新しい領域のため、長い実務経験を持つ人材がまだ少ないことも背景にあります。SOKUDANの支援現場でも、オファー年収が上がったり、内定まで半年以上かかったりするケースが見られます。
これからAI活用を進める企業は、正社員採用だけにこだわらず、外部の業務委託人材も選択肢に入れることで、着手を早めやすくなります。
方向性が固まる前の正社員採用はズレが生じやすい
AI活用の方向性が固まっていない段階で正社員を採用すると、入社後に期待と実際の業務がズレる可能性があります。
例えば、「全社のAI活用をリードしてほしい」と伝えて採用したものの、実際には特定部門へのツール定着から始めるケースです。入社した側が「聞いていた話と違う」と感じ、早期離職につながることもあります。
取り組むテーマが変わりやすい段階では、業務範囲と期間を区切って契約できる業務委託のほうが調整しやすいでしょう。テーマが変わった場合も、双方で合意したうえで契約内容を見直したり、別のタイプの人材に切り替えたりできます。
業務委託で始めるメリット
AI推進の最初の一歩として、業務委託で人材を迎えるメリットは次の4つです。
- 参画の早さ:必要なタイミングで、早く参画してもらいやすい
- 始めやすさ:週1〜2日など小さく始められ、初期リスクを抑えやすい
- 人材の幅:正社員採用では出会いにくい、高スキル人材とも接点を持てる
- 知見の補完:社内に不足しているAI活用の知見を補いやすい
副業やフリーランスとして働く人の中には、転職市場には出てこない経験豊富な人材もいます。正社員では採用が難しい層でも、週1〜2日の稼働であれば参画してもらえる可能性があります。
まずは小さな範囲から任せ、成果を見ながら関わり方を広げていける点も、業務委託のメリットです。
AI人材を業務委託から正社員に移行する3ステップ

業務委託から正社員へ移行する場合は、「外部の知見を借りる→方向性を固める→正社員で迎える」というステップで進めるのが効果的です。最初から正社員に求める要件を決め切るのではなく、業務委託で試しながら、自社に必要な人材像を明確にしていきます。
| ステップ | 目的 | 人材の関わり方 |
| ①外部の知見を借りる | 自社に足りないAI活用の知見を補う | 業務委託の人材に、週1〜2日などで参画してもらう |
| ②方向性を固める | 試行を通じてAI活用の方針を明確にする | 業務委託の人材と社内担当者が一緒にテーマを検証する |
| ③正社員で迎える | 固まった方針を社内で推進する体制をつくる | 方針に合う人材を正社員として採用する |
①外部の知見を借りる
まずは、AI推進の経験を持つ業務委託人材に参画してもらい、社内に不足している知見を補います。
この段階で、全社の方針まで決める必要はありません。先述した「対象業務」「成功の定義」「始める範囲」をもとに、1部門・1業務など小さなテーマから任せます。
週1〜2日の稼働から始めれば、初期コストを抑えながら、社内にはない視点を取り入れられます。社内担当者も一緒に進めることで、AI活用の進め方を実践しながら学べる点もメリットです。
②方向性を固める
続いて、業務委託の人材と小さな試行を重ねながら、AI活用の方向性を固めていきます。実際の業務で試すことで、AIが効果を発揮しやすい業務と、そうでない業務が見えてきます。
その結果をもとに、どの部門へ広げるのか、開発が必要なテーマがあるのかを判断します。あわせて、3タイプのうち、どの人材を社内に置くべきかも具体的になります。ここで固めた方針が、正社員採用の求人要件の土台になります。
③正社員で迎える
最後に、固まった方向性に合う人材を正社員として迎えます。方針を明確にしてから採用することで、求人要件や面接で確認すべきポイントが具体的になり、採用にかかる時間やコストも抑えやすくなります。
また、業務委託で参画した人材を、そのまま正社員として迎えるケースもあります。実際に一緒に働くなかでスキルや相性を確認したうえで、本人の意向も踏まえて切り替えを検討する形です。
新たに社外から採用するよりも、入社後のミスマッチを抑えやすい進め方といえます。
AI人材の採用で失敗しやすい3つのパターンと対策

AI人材は、採用できれば成果につながるわけではありません。推進役を迎えても、受け入れる側の準備が整っていなければ、十分に力を発揮できないためです。SOKUDANへの相談でも、人材そのものではなく、受け入れ方でつまずくケースが見られます。
ここでは、要件の言語化以外で、参画後に起こりやすい3つの失敗パターンを紹介します。
伴走役がいない
スキルが高くても、事業理解や業務への落とし込みが得意とは限りません。事業・企業側に相談相手がいないと、どの業務から着手すべきか判断できず、AI人材が1人で課題を抱えてしまいます。
そのため、事業部門側の窓口を決めてから迎えることが重要です。担当者が現場の業務や課題を共有することで、推進役も技術を生かせる場面を見つけやすくなります。選考時には、技術力だけでなく、事業側と対話しながら進められるかも確認しておきましょう。
役割が曖昧
「AI推進を全般的にお任せしたい」のように、役割が曖昧なまま依頼すると、参画した人材も何から着手すべきか判断できず、時間だけが過ぎてしまいます。社内からも「何をしている人なのかわからない」と見られ、協力を得にくくなります。
そのため、最初に取り組むテーマと、何をもって成果とするかを参画前に決めておくとよいでしょう。業務委託では、業務範囲が曖昧なままだと契約上のトラブルにもつながるため、依頼する業務や成果物を具体的に定めておきましょう。
他部門の業務に踏み込むときに支える役員クラスがいない
AI推進では、他部門の業務の進め方を変える場面が出てきます。そのため、役員クラスの後ろ盾がないと、本人の力量とは関係なく、取り組みを進めにくくなります。
経営層から各部署に実施事項や目標を示しておけば、推進役も部門をまたいで動きやすくなります。反対に、推進役だけが各部署を説得して回る状態では、途中で取り組みが止まりやすくなります。推進役を迎える前に、社内で後ろ盾となる役員を決めておきましょう。
AI導入を推進する人材を業務委託で確保できるSOKUDAN

AI導入を推進する人材を業務委託で確保するなら、SOKUDAN(ソクダン)の活用がおすすめです。SOKUDANは、転職市場にはいないAI時代の即戦力の業務委託人材と、最短60分で出会えるマッチングサービスです。
生成AI・LLMの専門人材について、要件整理から採用まで支援しています。
| 企業の課題 | SOKUDANでの対応 |
| 何を進めたいか整理できていない | 生成AI・LLMの専門人材について、要件整理から採用まで支援 |
| 3タイプを1人で担える人材がいない | 複数職種による専属AIプロチームを組成 |
| すぐに推進役が必要 | 最短60分で候補者と出会える |
| AI人材の見極めが難しい | AIと人による二重スクリーニングで候補者を5名程度に絞り、複数人を比較できる |
| 即戦力かどうか不安 | 登録者の約60%が実務経験5年以上 |
| 初期コストを抑えたい | 初期費用0円から利用可能 |
SOKUDANでは、AIと人による二重スクリーニングと専任担当者の伴走により、企業側の採用工数を70%削減しています。自社に合う人材像が固まっていない段階でも、要件整理から相談できます。
AI導入に必要な人材に関するよくある質問

最後に、AI導入に必要な人材を検討している企業から、よく寄せられる質問を紹介します。
AI人材は育成と採用のどちらを優先すべき?
すぐに推進役が必要な場合は、外部人材を活用しながら、社内育成を並行して進めるのがおすすめです。AI人材の育成には時間がかかるため、まずは外部の知見を取り入れてAI導入を進めることで、社内で育成すべき人材像も明確になっていきます。
社内にAIに詳しい人がいない場合、最初に何をすればいい?
社内にAIに詳しい人がいない場合は、まず「AIで何を進めたいか」を言語化します。対象業務・成功の定義・始める範囲の3点を整理すると、必要な人材のタイプが見えてきます。
1部門・1業務から始めるなら、現場推進型の人材を業務委託で迎える方法が現実的です。社内担当者も一緒に進めることで、AI活用のノウハウを社内に残せます。外部人材に任せきりにせず、社内の窓口役を決めておくと、契約終了後も取り組みを続けやすくなります。
中小企業でもAI導入の推進役を採用すべき?
中小企業こそ、AI推進役を置く意味は大きいといえます。冒頭で紹介した総務省の調査でも、生成AIの活用で「組織的な取り組みはない」と答えた割合は、中小企業で特に高くなっていました。
担当者が限られる中小企業では、推進役がいないと、導入したツールが十分に使われないまま終わる可能性があります。
専任人材を雇う余裕がない場合は、週1〜2日の業務委託から始める方法もあります。小さく取り組み、成果を確認しながら関わり方を広げていけます。
AI導入コンサルと現場推進型の人材はどう違う?
AI導入コンサル(全社戦略型)は、全社のAI活用方針を設計する人材です。ロードマップの策定や部門間の調整を担います。一方、現場推進型は、各部門の業務にAIを定着させる人材です。現場の課題を見つけ、業務改善を積み重ねていきます。
どちらを重視するかは、「AIで何を進めたいか」で決まります。全社の方針づくりを優先するなら全社戦略型、特定部門での定着を優先するなら現場推進型が候補です。
両方が必要な場合も、1人にすべてを任せるのではなく、メインとなる役割を決め、不足する部分を別の人材で補う形が現実的です。
業務委託のAI人材をあとから正社員にすることはできる?
本人の合意があれば、業務委託から正社員へ切り替えることができます。一般的には、業務委託契約を終了したうえで、新たに雇用契約を結びます。
雇用契約を結ぶ際は、賃金や労働時間などの労働条件を書面などで明示する必要があります。これは、労働基準法で定められた使用者の義務です。
マッチングサービスを利用している場合は、正社員への切り替えに必要な手続きも事前に確認しておきましょう。
まとめ
AI導入が進まない原因の1つは、業務とAIをつなぐ推進役がいないことです。まずは、AIで何を進めたいのかを整理し、現場推進型・開発実装型・全社戦略型の3タイプから、自社に必要な人材を見極めましょう。
正社員での採用が難しい段階では、業務委託で外部の知見を取り入れながら方向性を固める方法もあります。また、最初から全社変革を目指す必要はありません。1部門・1業務から小さく始め、成果を確認しながら広げていくほうが、社内にも定着しやすくなります。
SOKUDANは、転職市場にはいないAI時代の即戦力となる業務委託人材と、最短60分で出会えるマッチングサービスです。登録者の約60%が実務経験5年以上で、生成AI・LLMの専門人材について、要件整理から採用まで支援しています。
AI導入を推進する人材を探している企業は、ぜひサービス資料をダウンロードして、具体的な特徴や内容を確認してみてください。






